[読書] カッコ悪く起業した人が成功する - 鈴木健介著
タイトルをもっとストレートにしたら、もっと売れそうな本。
カッコ悪く起業した人が成功する
鈴木健介著
本屋で資金調達の方法について書かれた本を探しているうちにたまたま見つけた本書を手に取り、まえがきと目次に目を通した瞬間、この本は面白い!と直感した。
面白いポイントその1:「やってはいけないこと」が記されている
普通この手のビジネス書においては、「やるべきこと」が、その成功事例と共に記されていることが多い。本書にも「やるべきこと」は書いてあるが、本書の一番の特長は、「やってはいけないこと」が著者の失敗事例と共に記されているということである。
実際この著者は、起業→倒産・破産→破産停止・身分回復→そしてまた起業という、ビジネスにおける最もわかりやすい「失敗」を経験していて、その体験談を読むだけでも本書の価値があるように思える。
面白いポイントその2:「やってはいけないこと」と「やるべきこと」が具体的に対比されている
一例を抜粋してみる。
p.116-p.117:
【営業で取引先を回る】企業の計画立案から実際の立ち上げ、営業、宣伝、事業拡大、危機への対応まですべてこの調子で具体的に示されている。
やってはいけないこと:やるべきこと:
- 営業はプロに
- 可能性を累積する
- 傷を売り歩く
- 訪問の度に売込みをする
- 自分の喜びを先に求める
- 「売れている店」を大事にする
- 営業と御用聞きを混同する
- 応対のいい客を常時訪問する
- すべてのスタッフが営業職であるという意識を持つ
- すべての部署が目標と計画を明確にして遂行する
- 頭脳を使った論理的な活動をする
- 敵を知り己を知る
- 引き際を決めて行動し経緯にこだわらない
- 相手のほしがる情報を集め訪問の度に提供する
- まず相手に利益を与える
- 「売っている店」を大事にする
「やってはいけないこと」と「やるべきこと」が対比されていることにより、「やるべきこと」が、単なる成功事例の模倣ではなく、それを行なう目的や意図を自然に理解できるのである。
著者もまえがきでこのように書いている。
p.15:
本書は「やってはいけないこと」と「やるべきこと」を対比して書いています。それは先に記したように、「成功」の疑似体験は成功に結びつかないからです。しかし「これをやると失敗する」と経験上わかっていることを避ければ、少なくとも成功に近づくことはできるのです。だからこそ、本書のタイトルには「やってはいけないこと」が伝わるものの方が良かったのではないかと思っているのだが…。
ともあれ、自らの失敗を晒していただいた著者に感謝。
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